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マルチレイヤーイノベーション

先日(2019/4/9・10)のビジネスモデルキャンバス・マスタークラスin Tokyo(以下、マスタークラス)で、 

イノベーションには

  • プロセス・イノベーション
  • マーケティング・イノベーション
  • R&Dイノベーション
  • ビジネスモデル・イノベーション
  • 組織・マネージメントのイノベーション

の5つがある 

と紹介されました。 

BMIAのみなさんは、ビジネスモデル・イノベーションに惹きつけられますよね。 
だけども実際の企業の現場では、特に、全社的なイノベーションを目指すなら、このすべての領域をマネージメントしていかなかれば、期待しているイノベーションにはたどり着けないのです。 

先日、salesforce社、シンフォニーマーケティング社共催のセミナーで登壇しました。 
みなさんにもその内容を共有します。

私自身の長年の社内戦略によるものですが、汎用性が出るように解説します。 

イノベーターが苦しみ挫折していくのは「組織・マネージメントのイノベーション」ができないからです。 

先日のマスタークラスでアレックス・オスタワルダーがこの領域のイノベーションについて紹介してくれました。

より詳細な情報は、出版を待たねばなりませんが、私自身は今現在「組織・マネージメントのイノベーション」を含めてすべてのレイヤーのイノベーションに “同時に“ 取り組んでいます。 

会社の多岐にわたる領域のイノベーションを同時に推進する方法をご紹介します。 

すべての領域のイノベーションの起点、軸はマーケティング部門です。

開発組織、営業組織、経営戦略組織、どれも起点にはふさわしくはありません。

それぞれに現業があり、業務領域は限定的です。お互い資源配分で敵対関係になったりもします。 

それに対してマーケティング部門はすべての組織に対して同じ距離感をとることが可能で資源の取り合いにもならない、ニュートラルなポジションを取ることができます。

会社外部の市場と、社内をつなげる、社内の各部署、個人と個人をつなぎ社内をメッシュ化していくことができます。

なので、イノベーションの起点としてマーケティング部門は最適なのです。 

さて、いろいろなレイヤーのイノベーションになるわけですが、今や企業内の社員は、エクセルに魂を吸われ、システムに存在そのものが取りこまれ、いよいよAIに飼われる。 
そんな状況で、サイロ化された組織、分断された個々人が、上層部への報告のための情報収集、集計分析、文書作成などの付帯業務に追われ忙殺されており、価値創造に手が回らない。そこに、ビジネスモデルイノベーションだ!と叫んだところで、バカかアホかと言われるのが関の山。ということです。 

なので、まずやるべきことは、バックヤードの業務の改革ーすなわちプロセス・イノベーションで、BPRとかBPMと言われる領域で、具体的にはsalesforceの導入により、顧客管理、案件管理、代理店管理、サービス・サポート業務のオペレーション、業務、役割分担、評価指標を変えてしまうということです。

キーワードは、エクセルとメールをなくせ。社内報告書のパワーポイントをなくせ。です。

余剰を創り出すことがポイントです。 

そして、マーケティング・イノベーションになりますが、saleforceはもともとはSFAだったわけですが、MAーPardotを買収し統合。CRMにあたるCommunitiCloudは、IoTプラットフォームとの接続によりIoTとの連携も実現しています。MA-SFAーPRMーCRMとすべて一つのプラットフォームで顧客情報を一元管理することで、すべてのリソースを営業を中心としたチームワークへと変容させていきます。 

計画的、戦略的なマーケティング活動による見込み客の創出、インサイドセールスによる営業案件創出。PardotにもAI-Einsteinが実装され、展示会やメール、セミナーなどなんのマーケティング活動が売上創出に効果的かも瞬時にダッシュボードに表示されるし、Einsteinが効果的なキャンペーンと時期、ROIまでを示してくれる様になりました。 

そして・・・やっとビジネスモデル・イノベーションです。 
ビジネスモデルイノベーション協会でも、いよいよ、『salesforceでビジネス創出』ワーキンググループが活動を開始しますが、ここで言う、ビジネスモデル・イノベーションは、salesforceをプラットフォームとして創造せよ、ということです。 

現代のビジネスはIT抜きには創り出せません。特にUI/UXの開発を自前でやるには膨大なコスト、ローンチ以降のメンテナンスコストが膨大になります。実際、私たちはビジネスモデルをデザインはするものの、ビジネス創出に至らない理由のひとつはUI/UXです。この問題を一気に解決するのがsalesforceです。 

さて、プロセス、マーケティング、ビジネスモデルまでをsalesforceによってイノベーションしていく。情報連携と情報加工、分析が自動化され人的な作業がどんどん不要となります。 

私たちはやっと顧客課題に向き合い、バリュープロポジションデザインに向き合う余力を手に入れます。 
圧倒的に差別化されたバリュープロポジションを生み出すには、高度な技術開発を必要とすること。 
多くの技術開発は、シーズ思考だったわけです。だけども、誰に?という視点からのR&Dを文化として定着させていくには、絶えず、顧客情報に触れている必要があり、それはsalesforceによりもたらされるのです。 

いよいよ、「組織とマネージメントのイノベーション」ということになるわけですが、BSCによれば企業活動は、財務ー顧客対応ーオペレーションー組織となります。マネージメントについては、salesforceは世界のベストプラクティスの結晶でありそのテンプレートがそのまま企業内に実装されます。評価指標も役割分担も決まる。すなわち、組織構造が変わりマネージメントも変わる。すべての活動は売上にどうつながるのかが構造化、数値化されていく。ということです。 

たとえば、マーケティングは虚業だと言い張る経営者層が何代も続いた技術偏重、技術至上主義の企業にsalesforceを導入していくことは 並大抵のことではないのかもしれません。(たぶん。) 

ポジションパワーも使うし、正直なところかなり社内政治に強くなければなりません。 
多くの仲間、組織を巻き込んでいく手腕が必要です。

会社そのものを変革したければ、出世して望むポジションを取りに行く自分戦略、セルフマーケティング、強い自分のビジネスモデルを追求していく必要もあります。そして、タイミング!です。 

ビジネスは、これから

  • クラウドサービスをどう使いこなすのか?
  • 社内業務をクラウドサービスでどう設計効率化していくのか?

という時代です。 
目を凝らして、観察し、理解に努めてください。理解できないものを動かすことはできないのです。

そして、組織・マネージメントにイノベーションを起こしたければ、組織・マネージメントを理解せよ。掌握せよということです。

文責 理事 三宅 泰世 

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